私の「面白い」

私の「面白い」

読んでくれたら嬉しい。共感してくれたらもっと嬉しい。でも私のために書きます。

真夜中遠州灘のすゝめ

自分が陰々滅滅としたときの特効薬。そういったものはあまり他の人にも有効ということは少ないけど、僕の特効薬の話を一つ。

静岡県浜松市には遠州灘という浜辺がある。
浜松繁華街から道一本で行ける砂浜に面する丁字路から海岸線までは砂浜が百数メートルほどはある。風で砂浜が削られるのを防ぐための簡易な策が張られているので、道路から砂浜を通って海岸線にたどり着くまでにはまっすぐ歩くだけではなく、足元や周りの確認が必要。特別な海水浴場というわけでもないので砂浜には照明などの人口の設備はない。海岸線までの間には砂が丘のようになっている部分があるので、数メートルほど上って下りる必要がある。道路から海は見えないし、海から道路は見えない。そこに、あえて真夜中に行ってみるのだ。

砂浜に面する道路はコンクリート。そこから砂に踏み入る。自分が正常なら、その時点で引き返す。ただ、そうでないときは引き込まれるような真っ暗闇。道路の明かりは、夜間時の赤点滅の信号機だけ。砂に踏み込んだ時点で文明の明かりは、手元のスマートフォンのライトを除いて、歩を進めるたびに物理的に遠のいて行く。柵をよけながら歩を進める。普段とは違う地面の踏み心地。音は自分の足音と遠くで鳴ってる風の音のみ。歩いているとふと何かの気配を感じたりする。

続く