最高の敵の在り方
ゴジラの真の魅力がアメリカ人になかなかわからないように、JOKERの真の魅力は我々にはなかなかわからない。
そんな気がする。
ダークナイトのジョーカーからジョーカーのモチーフは、かなり明確に、paradise lost(失楽園)のサタン(元ルシファー)になっている。人間に知恵の実であるところのリンゴを食べることをそそのかした蛇その人(人?)である。
個人の利益や命の安全を目的としているのではなく、神の最高傑作であるところの人間を堕落させ、秩序という神の縛りから自由にさせることを目的として混沌のために動くのがサタンであり、近年のジョーカーである。独裁的だった神という概念に対して提唱されたニーチェの自由意志的な実存主義的な考えに近いものがある。日本作品では石原慎太郎の完全なる遊戯などがそれにあたるか。
アメリカのエンターテイメントの敵にはしばしばこのサタンがモチーフにされていると感じるものがある。ダーティハリーのスコルピオ、時計仕掛けのオレンジ、フランケンシュタインの人造人間、ブレードランナーのロイ・バッティ。
続く