完璧な証明実験(2)
目は動いている景色を細かいところまで把握することはできない。
言われてみればわかる気がするが、普段はあまり気づかない事実だ。
目が回るという現象がこのことを裏付ける一つの事象といえる。
目を開けながら体を回していく。回っている最中、景色は(回る方向にもよるが)右から左へと流れていく。
実はこの時、目は無意識に景色の回転を相殺する方向に動き、景色を認識しようとしている。ちょうど鳩の首の動きと同じ理屈だ。あまり意識をすることはないが、眼球は激しく右へ左へと動き、景色の動きを相殺しようと努めていのだ。フィギュアスケートの選手のスピンをよく観察してもらえればわかると思うが、スピンしながら首を左右させることで、極力目線を一定の方向に保とうとしている。これは美術的な意味合いもあるのかもしれないが、少しでも景色が流れていくのを防ぎ目を回さないようにする工夫でもあるはずだ。一般の人がこのように回り続けるときは首は動かさないので、目のみに景色を認識するための負担が集中する。
そして急に回転を止める。目が回るという状態になり、うまく視点が定まらなくなる。この状態の人の目を観察してみると面白い。目は回転が終わった後も景色の認識の為の運動を続け、鳩の首よろしく左右に小刻みに動き続ける。
ただ、これには三半規管の影響もあるので純粋な証明にはならない。
僕が感動した証明はもっと秀逸だった。
続く