完璧な証明実験(3)
目が動く景色を認識できないこと、の証明。
実験器具はズバリ、鏡一枚。実験方法も超簡単。
鏡に映る自分の顔の右目と左目を交互に見るのだ。目は確実に動いているはずだし、目を当に観察しているはずなのに、目の動きは認知できないのだ。
自分の目の動きが特別認識できないというわけでもない。
スマートフォンの自撮りモードで同じ実験を試みてほしい。この場合は目の動きを認識できるはず。自撮りモードは鏡と違いタイムラグがあるので当に目が動いている瞬間を認識することができるのだ。
僕はこの実験にたいそう感銘を受けた。比較的安上がりで証明できること。自分の体だけで完結し、結論を出すことができるということ。目が動く瞬間を確実に視界に入れることができていること(認識はできないが)。
体の一部という客観的な観察が著しく難しい題材なのに、これほどまでに単純で無駄なく、でも条件の漏れもなく証明してしまう。完璧だ。僕にとってこれは証明実験の鏡だ。ダジャレジャナイヨ。
実験って難しい。調べたい事象の結果に余計な要素が影響していてはいけないし、実験を発案した立場ともなるとなおの事その余計な要素があるかないかを発見しずらくなる。
でも、だからこそ完璧な証明は強い。科学というものが現代でここまで発展した理由だ。
一見正しそうだからという安易な根拠をもとに論が展開されているということは世の中存外多い。情けないことにこのブログだってそうだ。
でも、だからこそ証明が難しいことを見事に解明する実験に出会うと僕は感動せずにはいられない。
僕はこの鏡の実験以上に感動する証明にはまだ出会えていない。