大人の証
小さいときに考えていた大人の証でお門違いなことっていっぱいあった。
保育園に通っていたころ、おやつの時間にスーパーカップがでた、半分だけ。幼児はおなかを壊すといけないから、一気に大きなアイスを一人で丸ごと食べてはいけないんだそうな。
4歳のころ、夏休み明けにひとりで丸ごとスーパーカップを食べたことを自慢してきた友人がいた。そいつは未成年のくせにタバコを吸ったばりのバッシングをクラス中から受けた。
そして僕、丸ごとアイス初体験を迎えたのは小学一年生の時。僕はランドセルを背負うその日まで、丸ごとアイス未経験を貫いたのだ。
あの日、確実に僕は一歩、大人に近づいたのだった。
今の僕はあの時の僕が憧れた僕に少しは近づけただろうか。死ぬまでに、あの頃の僕に顔向けできるような大人になれるだろうか。