私の「面白い」

私の「面白い」

読んでくれたら嬉しい。共感してくれたらもっと嬉しい。でも私のために書きます。

馬鹿には馬鹿なものすら作れない(2)

マッドマックスといえば荒涼とした砂漠で気持ちわるい格好をした人たちが変に改造した車にのって殺し合うっていう内容なわけだけれども、この映画を作っているジョージ・ミラーは実は秀才その物。映画監督になる前はお医者さんで、救急病棟に勤めていたっていう経歴があるくらい。少なからずその時点で、命や倫理の問題は一般の人よりも考えているに違いない。他にもマッドマックスにおいては神話というある種最もプリミティブな物語の在り方から組み立てて、生理的な気持ちよさとして変更してはいけないところを軸として一切ブレさせることなく、許された脚色の部分で存分に作家性を爆発させるという、、、、、もう、この、なんていうか、最高!!なわけです。

例えば、戦闘を前にした人間が自らを鼓舞するために音楽という手段を用いてきたという事実は、人間が歴史的に積み上げてきたある種本質的な物だ。例えフィクションであっても生理的な快感の為にそこをぶれさせてはいけない。
この生理を利用した演出で映画史の中でも屈指の戦争ものであるコッポラの「地獄の黙示録」では戦闘前にアメリカ兵たちが爆音で「ワルキューレの騎行」を流すというシーンがある。これは第二次世界大戦ヒトラー率いるドイツ軍が戦争報道をこの曲に合わせて行っていたという事実からきており、結果的に後の様々な作品たちにオマージュされている。
続く