私の「面白い」

私の「面白い」

読んでくれたら嬉しい。共感してくれたらもっと嬉しい。でも私のために書きます。

できた!!

できるようになったことをやたらやってみたくなるのは人間の性ではなかろうか。
自転車に乗れるようになれば遠出をしたくなるし、新しいレシピを覚えれば夕飯は毎晩それになるし、
スマホを持てばやたら人と連絡したくなる。
逆上がりができるようになればそればっかりやってみたりとか、登り棒に上れるようになれば上の景色を知っても登っておりてを繰り返すとか、恋人ができればデートに行きたくなったり、、、まぁ、下の3つは経験がないのだが。
しかし、ある程度年を重ねると、はしゃぐ恥ずかしさや会得するものが長期間の練習によるものだったりすることや他に既にできる人がいたりすること等が原因で、喜びが少なかったり心のなかだけで喜んで終わってしまったりする。


中学の頃だろうか。家庭科の実習で幼稚園に行ったことがある。恐ろしく子供ウケしない僕は、運動場で一緒に遊ぼうの時間で保育園の先生とおしゃべりしていた。ただ、運動場にはちびっこ達から惜しみ無く巻き散らかされた「できた!!」が充満していたのは覚えている。
中でも印象的だったのは「走れるようになった!!」の男の子。3歳くらいと思われる。追うでもなく追われるでもなく、目的地もなく、目も開けず、ただただ一心不乱に、ジェットコースターに乗る女子高生よろしく奇声をあげながら縦横無尽に走りまわっていたのだ。

そんな彼は僕のおしゃべり相手の先生に向かって猛ダッシュ!!&激突寸前クイックターン!!!からの僕のすねにドーン!!!!。ポテッと尻餅を付く。目をパチクリとさせて、ヒョイッと上を向く。そこにあるのは全く怖くない僕の笑顔と「大丈夫?」と僕に差し伸べられた手。刹那!!



「ヴぅいィェやぁあああああーーーーー!!!!」
と大号泣。
(恐らく漫画でいうところ「びぇ~~」の最上級)
そのままできるようなったダッシュをフル活用する形で逃げていく。


僕は彼の走りに目的を与えたのだ。恐怖に刈られた(誰の笑顔が恐怖じゃ!)人間はあんな音が出せるのかと驚いた。
唖然とする僕の肩をポンポンと叩き「ドンマイ」という先生は笑いを必死に噛み殺す。それが僕を傷つける。


以降約1ヶ月。友人からはお前が泣かせた、お前が泣かせたと言われ続ける事になる。

泣きたいのはこっちだってのに。